乙女ゴコロを理解する!少女マンガの展覧会「わたしのマーガレット展」に男一人で行ってみた

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六本木ヒルズ。どことなくセレブな人々と、見るからに遊んでそうなエリートビジネスマンと、トレンド好きな女子が集う、言わずと知れたスポットである。

そこに、アラフォーに片足突っ込んだ30代男子、つまり平たく言うとただのおっさんが立っていた。

目指すは「森アーツセンターギャラリー」。
日本初だという、少女マンガの展覧会「わたしのマーガレット展」を見に来たのだ。

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ちなみに、男一人である。

なぜそんな修行のようなことを思いついたかと言えば、昨今の壁ドンブーム(?)がきっかけだ。

※イメージです
※イメージです

「今、壁ドンが流行っているという・・・
確かに、女子はいつの世もイケメンとの禁断の恋を夢見ているものだ。
少女マンガというものはその時代の女の子たちの憧れる恋愛像を反映していて、
“こんな男の子になら抱かれてもいいわ!“という願望のカタマリなのだな。
はっ、待てよ! と、いうことは・・・
少女マンガに詳しくなれば、モテる男のパターンが掴めるんじゃね!?

という短絡的な思考の結果、ここに立っているというわけである。

森アーツセンターギャラリーは、六本木ヒルズの展望台「東京シティビュー」と併設されている。
何が悲しくて地上52階の展望台に男一人で上らなければならないのか。
否、それより先に、思ったよりずっと早く難関が待ち受けていた。

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チケットを買わなくてはならない。対面で。

展望台とのセット券も売っているが、当然ながら展示会のみの券を買う。

「わ……『わたしのマーガレット展』をください」

「……一枚ですね」

お姉さんが心無しか蔑んだ目で見てくるような気がしたが、目を合わせないようにうつむいてお金を払う。

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1,800円である。

高ぇ!!!

すでに場違いなムードたっぷりの中、ムーディーなエレベーターに乗って52階まで上昇する。

エレベーターの中には僕を入れて5人。
僕以外は全員女性である。

嫌な予感しかしない。

エレベーターを出て、会場へ向かう。
モギリのお兄さんはなぜか執事の格好をしている。

※ちなみに「撮影禁止」だったのでここからは文章でお楽しみください

チケットを渡して入場するが、すぐに止められた。
入ってすぐに特別ムービーとやらを見なければならず、前の上映が終わるのを待たなければならないようだ。
上映コーナー入口の前で待たされる。
同じく待っている人は6人。何度も言うが全員女性である。

待合スペースには、歴代の少女マンガのイラストが肖像画のようにたくさん飾られている。
白を基調としていて、假屋崎省吾の部屋のようである。

はっきり言ってこの待ち時間はかなりキツイ。

想像してみていただきたい。
少女マンガだらけの、ラブリーな部屋に、女性がたくさんいて、
その中におっさんが一人いる様を。
しかもそいつは少女マンガのイラストを眺めているという光景を。

これが外だったら通報されてもおかしくない事案である。

あれ、こんな肖像画だらけの部屋でムービーが始まるのを待っていた経験、前にもあるなあ……。

何だったっけなあ……。

なんて考えているうちに上映が終わったようで、中に案内される。
案内される直前に、自分のデジャヴが何だったかを思い出した。

ホーンテッドマンションだった。

僕の心はすでにサスペンスの世界に入りつつある。

特別ムービーとやらは、少女マンガの展開を走馬灯のようにまとめたイメージビデオだった。
気になる存在ができ、気持ちを伝えたい、でも伝えられない、けれど抑えられないこの気持ちっ! やっと告白できたと思ったら、気持ちのすれ違いで泣きたくなったり、ときには悲しい別れがあったり……。それでも最後には結ばれ、幸せなキスをする……。

うーん、少女マンガって素敵だなあ。

しかしこれ、約50年間よくもまあ同じような話を繰り返せるものだ……いや、これは男子も同じか。
男の子なんかドカーン、ズガーン、うおおおおお! みたいなことをずっとやってるもんなあ。女の子のほうがマシか。

少女マンガの検索結果。キスばっかしてる
少女マンガの検索結果。キスばっかしてる
少年マンガの検索結果。いつも何かと闘ってる
少年マンガの検索結果。いつも何かと闘ってる

さて、ホーンテッドマンションを抜けていよいよ展示ルームへ。
展示はいくつかブロックに分かれていて、最初は「マーガレット」創刊時の懐かしマンガ。それから冒険モノ、スポ根、ホラー、ギャグ・・・と、意外に幅広い少女マンガの世界を見せてくれる。
当時の原画や複製原画が見られるだけでも、マンガファンならば一見の価値がある。

そして、このへんは僕もわかるぞ!
「ホットロード」、「イタズラなKiss」、「花より男子」「先生!」「アオハライド」「君に届け」……。

そして唐突に出てくるオスカル&アンドレの等身大人形(笑)。

これはオバサマ方にはたまらない……のか?
見ると40代とおぼしきマダムが二人でキャアキャア言いながら写真を撮りまくっている。
そろそろ僕の気力も尽きようかというときに、展示は終了した……。

それはさておき、こうやって時系列で作品を眺めていったことで、やはり「理想の男子像」が何となく掴めた。

特に、90年代あたりの作品に登場する男子と最近のヒット作の男子とでは、大きな違いがあるのだ!

それは、「強すぎない」ことだ。

「どんなことがあっても主人公を守ってくれる、頼れる男子」より、「強がっているけれど主人公にだけは弱い部分を見せる、実は優しい男子」がウケているようなのだ!

なるほど、二人きりの時にウルッと涙をにじませるのも、テクのひとつとしてありなのかもしれない。

ただし、少女マンガの男子たちのようにイケメンでない男がやると、気持ち悪さが倍増すること請け合いである。
まずは泣き顔に負けないだけの男前度を手に入れることを強くおすすめする。

[ライター、写真/シンタクヤ]

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